読んでないのに好きな話「聖母と軽業師(聖母の軽業師)」

多分20年以上昔の話だ。NAVIの編集長だった鈴木正文さんが、コラムでアナトール・フランスの「聖母と軽業師」を紹介していた。

ルイ王朝の時代、素朴で貧しい軽業師のバルナベは、ふと出会った修道士に勧められて、自らも修道士になる。修道院にはさまざまな修道士が居て、彼等は自分たちの能力を活かしてマリア様への信仰を形にしていた。マリア様の絵を描く者、詩を詠む者、本を著す者、彫刻を彫る者など。バルナベはマリア様を敬愛する気持ちはいっぱいなのに、彼等のような能力を何一つ持っていないことを嘆き悲しむ。
そんなバルナベがやがて毎日礼拝堂にこもるようになる。それを他の修道士が気づき、彼は何をしているのか、後をつけてみると。
バルナベはマリア様の祭壇の前で、彼が出来る唯一つのこと、曲芸を一生懸命、一心不乱に演じていた。
覗いていた修道士たちが、バルナベの行為を神に対する冒涜と感じて辞めさせようとしたその時、マリア様が祭壇から降りてきて、自分の上着の裾でバルナベの額の汗を優しく拭いてあげたのが見えた。

鈴木さんは、この感動的な話の後で、自分が雑誌を作るのはこのバルナベの行為のようなものかもしれないけど、精一杯飛んだり跳ねたりしたい、と書かれていた(と思う。なにしろ昔の話なので)

僕は当時、この話にも鈴木さんの姿勢にもとても感動した。そして、最後の奇跡のシーンを思い浮かべる度に、どうしても泣いてしまう。残念ながら僕は常にバルナベのようにはなれないけれど、バルナベを美しいと思う気持ちは忘れまいと思う。
多分、これからこの話を読むことはないと思うが、僕にとってとても大切な話の1つだ。

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