「枝葉末節」

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zoom RSS 鍵の掛かった男

<<   作成日時 : 2017/10/24 09:17   >>

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アニメ「サザエさん」の近代化はどこまで進めるべきか、というのは考えだすとなかなか難しい問題である。スマホやタブレットを持ち出して来たらあの世界観はすっかり崩れてしまうだろうが、かといってあのままだと単なるノスタルジーになり、視聴者のリアルな共感からどんどん遠ざかることになる。なにしろジーコジーコの黒電話も公衆電話も使えない世代がどんどん出て来ているのだ。緑色の冷蔵庫ってありえない?
作家アリスのシリーズはこのサザエさん方式を採っている。1990年代前半に登場しようが2015年に殺人現場に現れようが、彼らは30代前半で、火村はいつまでたっても准教授(途中助教授から呼び名は変わったけど)、アリスはキャリアの浅いミステリー作家である。
ではあるものの、サザエさんと違い、事件がいつ起きたかが重要な本格ミステリに登場するため、その時々において違和感が無いように振る舞うことになる。だから、ある短編集で携帯電話がキーになったのに今回のアリスはふつうにスマホを使いこなしてたりする。
今回はそんな彼らが阪神大震災も東日本の地震も経たあとの現代のお話。
もはや死語となった平成新本格の中で、有栖川さんの文章が一番好きだ。そして文学なるものに一番近いのが彼なのかな、と思う。今回の主人公はアリスでもなく火村でもなく間違いなく被害者の梨田稔だと思うが、彼の過去は実に文学的だ。それを丁寧に暴いていく助手と探偵。愛すべき周りのキャラクター。有栖川有栖の資質と相まって素晴らしい出来栄えで、実にこの時代らしい背景を裏に隠した文庫700ページ超の大作を、緊張感を持ったまま読むことが出来ました。

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